医学部合格への第一歩は?
医学部入試の二大関門といえば、言うまでもなく「学科試験」と「面接」です。
特に近年では、学力だけではなく人間性・将来性を問う面接の重要性が高まっており、単なる暗記型の対策では通用しない時代になっています。
では、医学部面接の対策は何から始めれば良いのでしょうか?
結論から言うと、面接対策は「志望理由書の作成」から始めるべきです。
面接官の手元にあるのは「志望理由書」だけ
面接本番。面接官の机の上に置かれている資料は非常に限られています。
そこにあるのは——
・あなたの顔写真
・氏名
・そして、あなた自身が書いた「志望理由書」
これこそが、面接官にとって“あなたという人物を知るための唯一の材料”なのです。まさに**「キャラ設定シート」。この書類があなたの第一印象を決める決定打になります。
芸能界やモデル業界では「宣材(せんざい)」と呼ばれる履歴書のような書類があります。
これは「宣伝材料」の略で、自分を魅力的にアピールするための素材のこと。志望理由書も、まさにあなたの“医学部受験における宣材”なのです。
志望理由書に必要なのは「未来」の話
多くの受験生が、志望理由書に“過去の経歴、受賞歴”などを詰め込みがちです。
たとえば部活動の実績、ボランティア経験、留学エピソード、部活での優勝、生徒会での活動など。
もちろん、それらはあなたの背景として必要な情報です。
しかし、面接官が本当に知りたいのは「これから」。あなたが「どんな医師になりたいのか」「将来どう社会と関わっていきたいのか」といった未来のビジョンです。
たとえば——
「地域医療に貢献したい」
「外科医として患者の命を救いたい」
「発展途上国の医療支援に携わりたい」
このような“未来志向の一言”があるかないかで、印象は大きく変わります。
「私はこういう受験生です」を明確に
志望理由書を作成する作業は、「キャラ設定」をすることでもあります。
これはゲームの世界のようなフィクションではなく、“あなたという人間像”を大学側に明示する作業です。
自分はどういう性格で、
どんな動機で医学を志し、
どんなビジョンを持っているか。
この“設定”が曖昧だと、どれだけ立派な経歴があっても印象には残りません。逆に、自分というキャラが明確であれば、面接官の記憶に残り、質問の流れもスムーズになります。
4つのステップで書き上げる
「何から書けばいいかわからない…」という方も多いでしょう。そこでおすすめなのが、次の4ステップ構成です。
① 大学の理念・ポリシーを調べる
その大学が掲げる教育理念やアドミッションポリシーを調べ、共感した点を明記します。
例:「〇〇大学の“地域と世界に貢献する医療人の育成”という理念に強く共感しました。」
② 学びたいカリキュラムを選ぶ
自分の将来像と重なるカリキュラムや講義を具体的に2〜3つピックアップし、魅力を語ります。
例:「〇〇科で行われている早期臨床実習に強く惹かれました。」
③ 将来像とリンクさせる
なぜその大学でなければならないのか。自分の経験や思いと大学の特色を結びつけます。
④ 意気込みで締める
将来の抱負を簡潔に、力強く伝えて締めくくりましょう。
志望理由書は、面接対策の「幹」
面接でよく聞かれる質問といえば、
「あなたの長所・短所は?」
「高校生活で頑張ったことは?」
「自己PRをしてください」
といった“枝葉”の質問です。これらにぶれずに答えるためには、“幹”となる志望理由書が必要です。
志望理由書がしっかりしていれば、どの質問にも一貫した姿勢で答えられる。つまり、面接全体に軸が生まれるのです。
「やればやるほど不安になる」罠に注意!
多くの受験生が、面接練習をすればするほど不安になるという経験をしています。
「言葉に詰まりそう…」
「もっと模範的な答えが必要では…」
こうして時間だけが過ぎ、直前期の学科対策が手薄になる。これは本末転倒です。
だからこそ、面接対策は“最小限かつ戦略的に”行うことが重要です。そのためには、最初に志望理由書を固め、自分の中にブレない“軸”をつくることが何よりも有効です。
単なる「提出書類」ではない
志望理由書は、単なる提出物ではありません。
あなたの未来像を伝える“プレゼンシート”
大学に自分を伝える“宣材”。
そして、面接という舞台に立つための土台でもあります。
こう考えると、志望理由書作成の重要性が腑に落ちるのではないでしょうか。
志望理由書作りで、モチベーションも高まる
実際に書いてみると分かるのですが、志望理由書の作成は“自分の棚卸し”でもあります。
なぜ医学部を目指すのか?
なぜその大学なのか?
将来、自分はどんな医師になりたいのか?
それらを言語化していくことで、自分の中に一本の道が見えてきます。漠然としていた不安が形になり、自信へと変わっていく過程こそ、面接対策の本質です。
合格は「準備の量」ではなく「準備の質」
面接の合否を分けるのは、練習量でも記憶力でもありません。
どれだけ自分を言葉にできているか
どれだけ未来のビジョンを描けているか
この“質”こそが、合格への鍵です。
もしあなたが「そろそろ面接対策を始めなければ」と考え始めたなら、まずは志望理由書から着手してみてください。
そこから、すべてが始まります。