受験勉強において、理系の受験生、特に数学が得意な生徒や帰国子女には「暗記が苦手」という人が少なくありません。
数学が得意な生徒は公式や定理を一度覚えれば、それらを応用して複数の問題に対応できます。論理的思考に優れているため、計算や問題解決は得意ですが、その反面、知識を丸暗記することを苦手と感じがちです。あるいは億劫に感じているのかもしれませんね。
また、帰国子女の場合、英語圏での生活経験があるため、長文の文章をスラスラ読み、意味を理解することは得意です。しかし、その一方で単語や熟語をしっかり覚えることを面倒と感じたり、記憶に定着しにくいと悩むことも多いでしょう。
しかし、受験勉強においてそれが受験の全てとは言いませんが、「暗記」は避けて通れない要素です。
いくら数学が得意であっても、公式や定理を知らなければ解答はできません。
また、英語も語彙力が不足すれば、文章を読むたびに辞書を引くことになり、時間効率が悪くなります。
では、暗記を得意にするためには?
答えはシンプルです。
「記憶は回数に比例する」。
これ、聞いたことがある人も多いと思いますが、実際、「記憶の定着は覚えるものとの接触頻度に比例する」という事実を忘れてはいけません。
つまり何回接したかが重要ということです。
たとえば、中学1年生の時に覚えたWednesday(水曜日)などの曜日や、November(11月)のような1年の月のスペルは皆さんスペルも覚えていると思いますが、これって簡単ですか?
簡単だから中1で習ったというわけでもなさそうですよね。
ナイフの複数形のknivesとかもそうですが、これらの単語って意外とスペル難しいというか法則性がローマ字とは違ってけっこう難しい部類なんじゃないかと思います。
しかし、それでも皆さんはこれらのスペルを覚えています(いるはず)。
これはどういうことなのかというと、結局、何度も何度も見たり書いたり声に出してきたからです。
何度も見たり書いたりする、つまり何度も接触している。
この接触した回数(接触頻度)が多いからこそ、今では目をつぶっても書けるほど記憶の中には定着しているわけです。
単語に限らずですが、公式にしろ、定理にしろ、例文にしろ、活用形にしろ、何度も覚え直しては繰り返し確認することで、記憶の定着度は確実に向上します。
ただ、問題は「その繰り返しが面倒だ」という点。
だからこそ、繰り返しは面倒だ、そういうスケジュールの中で勉強するのが面倒くさいという人は「予習・授業・復習」のサイクルが重要です。
予習・授業・復習:3回触れることで記憶が定着
勉強においては、いかにして学んだ内容に繰り返し触れるかが鍵です。理想的な流れは以下の通りです。
- 予習:次の授業内容をざっと確認。理解できなくても構いませんが、大まかな内容に触れておくことが重要です。
- 授業:先生の説明を聞き、予習の時点でわからなかったところが「なるほど!」と腑に落ちればしめたもの。
- 復習:授業で理解したことをもう一度確認し、自分の中で再構築。わからなかった部分は可能なかぎり質問しまくりましょう。
この流れを確保することで、各単元に最低3回触れることができ、記憶の定着が大幅に向上します。特に苦手科目は復習に重点を置き、得意科目は予習中心で進めると効果的です。
小テストと反復学習の重要性
さらに学習効果を高めるためには、小テストを活用するのも有効です。
最近は小テストを行う塾や予備校も増えてきているようですが、これは大変良いことだと思います。
それが嫌な生徒もいるかもしれませんが、繰り返し確認できる環境が整っていることは良いことです。
もし小テストが無い環境だったら自分で小テストを作成し(あるいは大きめの単語カードに問題を書いて)、折に触れてチェックするのも一つの手です。
また、暗記が苦手な人には「エビングハウスの忘却曲線」の概要を知っておくと良いかもしれませんね。
- 学んだことは20分後に42%忘れ、1時間後には56%忘れ、1日後には74%忘れ、1週間後には77%忘れ、1ヶ月後には79%忘れる。
- つまり、何もしなければ1ヶ月後には2割しか覚えていないということです(個人差あり)。
これを避けるためには、繰り返しの復習と確認が不可欠です。覚えた知識は時間をおいて再確認し、定着させましょう。
教材選びよりも重要なのは「学び方」
受験生は「あの問題集がいい」「この参考書が優れている」という情報に翻弄されがちです。
しかし、どんなに優れた教材を使っても、その中身を定着させ、実際に使える知識に変える方法を知り、それを習慣できていながければ意味がありません。
- 教材を山のように積んで満足している受験生がいる一方で、数冊の教材を徹底的に使いこなし、合格を勝ち取る受験生もいます。
- 重要なのは、どれだけの教材を持っているかではなく、「その教材をどれだけ使い倒せているか」です。
自分に合った教材を選び、予習・授業・復習というサイクルで繰り返し学習し、知識を「分かる」から「できる」に変えていくこと。これが合格への最短ルートです。
習慣があなたを合格へ導く
結局のところ、学習において最も大切なのは「習慣化」です。
毎日少しずつでもいいので、予習・授業・復習を繰り返し続けること。
その積み重ねが記憶を強固にし、学力を飛躍的に向上させます。
さあ、今日から「予習・授業・復習」のサイクルを実践し、志望校合格に向けて一歩ずつ前進しましょう。