受験期は、子どもにとっても親にとっても大きな試練の時です。親は子どもの成功を願うあまり、つい過干渉になったり、厳しく接しすぎたりすることがあります。しかし、それがかえって親子関係を悪化させ、子どもの学習意欲を削いでしまうことも少なくありません。ここでは、受験生の親がしてはいけないことを具体的に紹介し、親としてどのような関わり方をするのが理想的なのかを考えていきます。

「押し付け」はNG!

受験期の最大のNG行動は「押し付け」です。

「あなたのためだから」「将来のためだから」と、親が進路や勉強方法を決めてしまうと、子どもは次第に口を閉ざし、自分の意見を言わなくなります。最悪の場合、「どうせ何を言っても無駄だ」と諦めモードになってしまい、親子のコミュニケーションが途絶えてしまいます。

特に厳しい父親と溺愛する母親の組み合わせは、子どもの精神的な負担を増大させる危険なパターンです。母親はくだらない世間話などの会話を交えながら、食事や生活面でのサポートに徹することが理想です。
一方父親は普段は見守る姿勢を貫き、いざというときに適切なアドバイスができる存在であることが重要です。

「昔の受験」と比較しない

親が子どもに対して「自分たちの頃はこうだった」と昔の受験事情を語るのは、ほぼ意味がありません。

現在の大学受験は、制度も内容も親世代とはまったく異なります。
参考書のレベルも内容も、入試問題の傾向も変化しています。
昔の基準を押し付けても、子どもにとっては参考にならないばかりか、プレッシャーになるだけです。

また、親戚や兄弟、友人と比較するのも絶対にNGです。たとえ同じ大学や学部を受験する場合でも、得意科目や学習ペースは一人ひとり異なります。他人と比較しても何のメリットもありません。

「適切な線引き」をして関わる

親がやるべきことは、子どもと適度な距離を保ちながら、必要な時にサポートすることです。「相談されたら一緒に考える」のはOKですが、「言いなりにさせる」「親の意見を押し付ける」のはNGです。親が主導権を握りすぎると、かえって反発を招いたり、やる気を奪ってしまったりする可能性があります。

また、子どもへの不満や文句は、親が直接言うのではなく、第三者を介するのがベストです。例えば、塾や予備校の先生に相談し、間接的にアドバイスしてもらうのが効果的です。親の言うことは聞かない子どもも、指導者のアドバイスには素直に耳を傾けることが多いものです。

勉強を教えるだけが予備校ではありません。良い予備校は、勉強のみならず、親の悩みや不満を受け止め、適切なフォローやアドバイスができるところです。受験生だけではなく親からの要望に応えようと陰ながら動いたり助力したり、時には愚痴と不満のはけぐちになれる存在出なければいけません。
塾や予備校にその受け皿としての機能がないと、親もストレスが溜まリます。その溜まったストレスが向かう先は子どもです。親のストレスは子どもに簡単に伝播するものです。そうすると受験勉強に手がつかなくなります。

良い親子関係を維持することは簡単なようで難しいことではありますが、最終的に合格した受験生の多くは、親御さんと良好な関係を築けていることが多いです。
親子関係といえば、面接などで親子関係を重点的に観察する大学もありますので、やはり日頃からのコミュニケーションは大切ですね。

受験生の親が避けるべき具体的な行動

次のような行動は、子どもの受験勉強に悪影響を与えます。

  • 過干渉や口出しをする(勉強時間や内容を細かく管理する)
  • 子どもの意見を聞かずに進路を決める
  • 兄弟姉妹や親戚、友人と比較する
  • 子どもに過度なプレッシャーをかける
  • 努力や成果を否定する発言をする
  • 空気を読まずに勉強中に話しかける

これらの行動は、子どもの自信を失わせ、やる気を削ぐ原因となります。
特にいけないのが「押し付け」。
これは時に親子の「分断」を生む危険性を秘めています。それも修復不能な。親と子どもの考え、思いが一致しないことは、今も昔もあることですが、その中で親の考え、価値観を「押し付ける」という行為が、もっとも子どものやる気を無くさせ、場合によっては一生憎まれることにも繋がりかねないので、これにはかなり気をつけた方が良いでしょう。

親としてのサポートは大切ですが、子どもが自分で考え、行動する力を育むことが何よりも重要です。

「放置」もNG!適度なサポートが必要

過干渉を避けるあまり、「何も言わない」「完全に放置する」のもよくありません。子どもは孤独感や不安を感じ、精神的に不安定になる可能性があります。

意見を求められた際には、ネガティブな言葉を避け、前向きなアドバイスをしましょう。そして、どんな進路を選んでも全力でサポートすることを伝えることが大切です。

また、親は勉強面だけでなく、生活面のサポートをしっかり行うことも重要です。

  • 健康管理を徹底する(バランスの良い食事、十分な睡眠、風邪予防など)
  • 集中して勉強できる環境を整える(静かな空間、適度な休憩の提案など)
  • 精神的な支えになる(励ましの言葉、適度な気分転換の提案)

受験は長期戦です。親子関係が悪化してしまうと、精神的なストレスが増し、本来の実力を発揮することができなくなります。親は「サポーター」としての役割を意識し、子どもが安心して受験に集中できる環境を作ることを心がけましょう。

最後に

受験期の親の関わり方は、子どもの学習意欲や精神状態に大きな影響を与えます。「押し付け」「比較」「過干渉」を避け、適度な距離を保ちながらサポートすることが大切です。

親の役割は「管理者」ではなく、「支援者」です。適切なサポートを心がけ、子どもが自分の力で成長していけるよう、温かく見守りましょう。