医学部を目指すうえで避けて通れない科目のひとつが「数学」です。特に国公立大学の入試では、記述式の問題が中心となり、答えだけでなく解答に至るプロセスそのものが評価の対象になります。

今回は、そんな医学部受験の数学において「どのように学べばいいのか?」「どんな姿勢で臨めばよいのか?」について、具体的な考え方や勉強法をご紹介します。

問われるのは“根本理解”と“論理力”

国公立大学の医学部入試では、中堅〜難関レベルまで記述式・証明問題が出題されるのが一般的です。
単に公式やパターンを暗記しているだけでは太刀打ちできない問題も多く、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できる力が求められます。

つまり、「覚える」よりも「理解する」、そして「説明できる」ことが重要。
そのためには、表面的な正解・不正解に一喜一憂せず、自分なりに“考えてみる”時間を持つことが、何よりも大切なのです。

「まずは解いてみる」の一歩がすべてを変える

数学を学ぶ際に、最も重要なのは「まずは自分で考えてみる」ことです。たとえ間違っていても、わからなくても構いません。
その過程こそが、脳に問題意識を植え付け、思考の土台を育ててくれます。

おすすめの流れは以下の通りです:

頻出単元から類題を選び、まずは自力で解いてみる。
→ 正解・不正解にこだわる必要はありません。

自分なりに答案をまとめてみる。
→ どこまで理解しているか、どこで詰まったかを明確にします。

模範解答を読み、考え方の違いや発想を確認。
→ 「なぜその手順が選ばれたのか」を意識して読み込みましょう。

それでも不明点があれば、チューターや先生にピンポイントで質問。
→ 問題全体ではなく、部分的な疑問を明確に伝えるのが効果的です。

この手順は、授業の予習にもそのまま応用できます。予
習の段階で自分の理解の輪郭をつかんでおくと、授業中に「なるほど」と感じるポイントが増え、吸収力も格段に上がります。

負荷のかけ方には戦略が必要

やる気に満ちた受験生がやりがちなのが、いきなり難問に挑戦して挫折してしまうこと。
もちろん、チャレンジ精神は大事ですが、「当たって砕けて終わり」になっては意味がありません。

学習には負荷のかけ方に“段階”が必要です。

最初は基本〜標準問題を繰り返し、

自信がついてきたら、少しレベルの高い問題へと進む。

このステップアップが、理解と定着を支えてくれます。
そして、どのレベルから始めるべきか、どの問題を解くべきかは、プロ講師や合格者のアドバイスを参考にするのが近道です。
自己判断だけでは、レベル設定を誤って回り道になることも多いのです。

求められる力は“処理能力”だけじゃない

大学によっては、複雑な計算処理・図形問題・微積分などが頻出です。
こうした問題では、以下のような力が求められます。

・計算処理能力

・論理的思考力

・空間把握能力

・注意力・集中力

・柔軟な発想力

一見すると“地味な努力”に見える数学の学習ですが、これらの力が身についていなければどれだけ知識があっても対応できないのが、医学部の数学なのです。

私立医学部の数学はマーク式中心

私立大学医学部では、7割以上がマーク式や答えのみ記入の形式です。
つまり、途中の論理や思考プロセスがどれだけ優れていても、最終的な正答が出なければ得点にならないということです。

これは一種の「割り切り力」や「精度重視」の学習スタイルが求められるということ。
スピードと正確性を両立させる練習も、並行して進める必要があります。

復習を“自動化”する工夫で、学習効率を最大化する
授業を受けたあと、数日後に「なんとなく復習」するのでは記憶は定着しません。
理想的なのは、1ヶ月後など“忘れかけた頃”にもう一度確認すること。

そのためにおすすめなのが、スマホのカレンダーや予定アプリに“復習予定”を登録しておくと良いですよ。

授業直後に復習予定を登録
 ↓
「いつやろう?」と悩まずにすむ
 ↓
脳のメモリーやカロリーを無駄遣いしない
 ↓
学習の“自動化”ができる

このように、悩む時間を減らし、考えなくても学習が進む状態をつくることで、限られた時間を最大限に活用できます。

医学部合格は“習慣化された努力”の集大成

医学部受験は、倍率が高く、内容も非常に高度。
しかし、どれだけ難関であっても、日々の「自分で考える」「繰り返す」姿勢を習慣化していけば、確実に力はついていきます。

悩む前に手を動かす。
わからなくてもまず考える。
忘れる前に復習する。

これらの小さな積み重ねが、やがて確かな実力となり、合格へとつながっていくのです。

時間は有限です。だからこそ、「迷わず動ける仕組み」を整えることが、ライバルに差をつける有効な習慣です。

今日から、ひとつずつ取り入れてみてください。
その一歩が、未来のあなたを変えていきます。