医学部を目指す受験生にとって、志望理由書や自己評価書は単なる出願書類ではなく、自分がどのような医師を目指すのかを大学に伝える大切なメッセージです。

たとえば、東京女子医科大学の「学校型推薦選抜」の要項を紐解いてみましょう。

志望理由書は「医師としての使命感」や「女性医師としての社会に貢献する心構え」が面接評価に加味されると明記されています。

また、自己評価書は「医師を志す者として自分をどう評価しているか」が見られ、調査書では学業成績や出欠状況、課外活動、取得資格といった事実面が確認されます。

ここで注目すべきは、志望理由書と自己評価書が重視される点です。

つまり、大学に入ることそのものを目的とするのではなく、卒業後にどのような医師として社会に関わっていきたいのかという将来像を、受験生の段階からある程度描いておく必要がある、ということですね。

たまたま女子医科大学を引き合いに出したので「女性医師として〜」というフレーズが出てきましたが、男性で他の大学を受ける時も同様です。

もちろん、入学後に学びを重ねる中で興味の方向性や目標は変わるかもしれません。

しかし「今の自分は、なぜ医師を目指すのか」「どんな医師になりたいのか」という問いに一度真剣に向き合い、明確に言葉にしておくことは、志望理由書を形づくるだけでなく、面接で説得力をもって語るための土台にもなります。

例えば「地域医療に携わりたい」「女性特有の疾患に向き合いたい」「研究と臨床を両立させたい」など方向性はさまざまですが、具体的な場面やきっかけを交えて語ることで、一貫性のある志望理由が生まれます。

加えて、自己評価では「困難に直面したときにどう取り組んできたか」「仲間とどう協働してきたか」といったエピソードを交えると、人物像がより鮮明になります。

大切なのは、出願直前になって慌てて行き当たりばったりで書き上げるのではなく、日頃から自分の考えをメモに残したり、指導者や仲間と話したりしながら少しずつ思考を深めていくことです。

その積み重ねが、文章に厚みと説得力をもたらします。

医学部を志す皆さんには、ぜひ早い段階から「自分はどのような医師になるのか」というビジョンを持ち、それを表現できる準備を始めてほしいと思います。