「あって当たり前」以前のこと

医学部受験に向けて予備校を探すと、どこのホームページにも必ず書かれているのが「優れた講師陣」「徹底したカリキュラム」「合格までのプランニング」「独自のメソッド」などです。もちろん、それらは非常に重要ですし、私たちメディカルウイングでも一切の妥協はしていません。

ただ、冷静に考えてみると、これらは“あって当たり前”のものです。受験生や保護者にとって「その予備校に通う理由」にはなっても、「合格できるかどうかの決定打」にはならないのではないでしょうか。本当に合否を分ける要素は、さらにその先にある「環境」にあるのです。

集中環境と管理体制

どんなに優れた教材やカリキュラムがあっても、受験生本人が集中できる環境にいなければ、その効果は十分に発揮されません。むしろ環境が悪ければ、成績は簡単に下降してしまいます。

私たちが大切にしているのは、「集中できる環境」と「安心できる管理体制」を両立させることです。管理といっても、決して監視のように見せつけるのではなく、細やかな気配りをさりげなく、静かに行うこと。露骨に「やってます感」を出すことは避け、受験生が余計な不安を感じずに学習に没頭できるよう整えることが最優先です。

あえて拘束を選ぶ理由

多くの予備校では「自習室はいつ来てもOK」「帰りたいときに帰っていい」という自由なスタイルを掲げています。一見すると、生徒の自主性を尊重する“物分かりの良いシステム”に思えるでしょう。

しかし、メディカルウイングはその逆を行きます。高卒生には朝から晩までの「滞在厳守時間」を設けています。いわば“通う刑務所”のような仕組みです(笑)。もちろん「行きたくない」と思う生徒もいるでしょう。それでも、イエローカードが出るのを避けるために歯を食いしばって通い続ける。そして結果的に合格する。そんなケースが毎年必ず生まれます。

この仕組みの背景には「人間は環境に左右されやすい」というシンプルな真実があります。自分を律するのは難しくても、環境に従うことは意外と簡単です。だからこそ、私たちはあえて「自由」ではなく「拘束」を選びました。

成績を落とす最大の敵

現役時代に惜しくも不合格となり、翌年は宅浪を選んだ結果、成績を大きく落としてしまう。そんな話は決して珍しくありません。自宅という空間は安心感を与えてくれる反面、どうしても「ダラけ」の温床になります。

どんなに偏差値の高い生徒でも、1年ダラけた生活を送れば成績は下降します。これは勉強法や教材以前の問題であり、まさに「環境の問題」なのです。カフェや図書館での勉強も、一見良さそうに見えて、結局は人の目を気にしたり、長時間の集中には不向きだったりします。

だからこそ、予備校に毎日通い、強制的にでも机に向かう環境に身を置くことは、合格を手にする上で決定的に重要になります。

1年の辛抱が力に

こうした生活は受験生にとって過酷かもしれません。けれども、それはせいぜい1年間だけです。だからこそ「こんな生活から早く抜け出したい」「絶対に1年で終わらせるんだ」という気持ちが生まれます。その思いが勉強の原動力となり、学力を押し上げ、合格へと直結していくのです。

そして合格発表の日、多くの生徒が涙を流します。その涙は「嬉しいから」だけではありません。「あの辛い生活からようやく解放された」という安堵の涙でもあるのです。その瞬間の表情こそ、私たちが支えてきた1年間の重みを物語っています。

過酷さと安心感を両立

もちろん、長時間滞在を義務づける以上、私たちには大きな責任があります。受験生が本当に集中できる環境を提供し、安心して勉強できる空間を整えること。そのために、空調や照明の細かな調整から、ちょっとした声かけ、健康面への気配りまで、一つひとつの管理を丁寧に行っています。

環境に身を委ねれば、人は思った以上の力を発揮します。医学部合格を勝ち取るために、カリキュラムや講師だけでなく「集中できる環境」を整える――これこそが、メディカルウイングの本当の強みだと私たちは考えています。