ここ数年、医学部を目指す女子受験生が確実に増えています。
「人の役に立ちたい」「一生続けられる専門職に就きたい」「経済的にも精神的にも自立したい」──そんな思いを胸に、勉強に励む女子受験生の姿は年々増加しているのです。
かつては男子が多数を占めていた医学部の世界も、今では大きく様変わりしています。
たとえば、2023年度の国公立医学部では女子学生の割合が36.5%まで上昇し、女子が4割を超える大学も増加。一部の大学では女子学生の比率が50%を超えるなど、男女比が拮抗あるいは逆転するケースも見られるようになりました。
私立大学に目を向けても、2024年度には聖マリアンナ医科大学、東邦大学、弘前大学などで女子の入学者数が男子を上回る結果となっています。
つまり今、「医学部に進む=男子が主流」という時代は終わりつつあるのです。
そしてこれは、単なる数字の変化ではありません。
医療現場において、女性医師の存在がこれまで以上に求められ、期待されていることの表れでもあるのです。
医療現場で光る「女性医師ならでは」の力
では、なぜ今、女性医師がこれほど期待されているのでしょうか?
まず、同性の医師に話を聞いてほしいと願う女性患者のニーズがあります。
産婦人科や乳腺外科、小児科など、デリケートな内容を含む診療科では、女性医師の存在が患者の安心感につながります。
また、女性医師には「共感力」や「観察力」、「丁寧な対話力」に優れた方が多く、単に症状を見るのではなく、患者の生活背景や心の状態まで丁寧に汲み取ってくれると感じる人が多いのです。
たとえば──
・高齢者の孤立に目を配り、在宅医療で地域を支える医師。
・子育て世代の健康を守り、育児と両立するライフスタイルを提案する医師。
・テクノロジーを駆使しながら、あくまで「人」として患者と向き合う医師。
こうした未来像に、自分を重ねる女子受験生が確かに増えてきました。
キャリアパスは「ひとつ」ではない
「でも、医師って激務では?」
そう思う方もいるかもしれません。
たしかに、医師という仕事は責任も大きく、楽な仕事ではありません。
しかし、その一方で、他の職業と比べて柔軟な働き方が可能な点もあります。
常勤として病院の第一線で活躍する道。
非常勤として曜日や時間を選び、家庭と両立しながら働く道。
あるいは、開業医として地域に根ざし、自分のペースで診療する道。
出産や育児といったライフイベントを経ても、形を変えてキャリアを続けやすいのが、医師という専門職の大きな魅力です。
しかも、そうした姿は、将来の若い女性たちの「ロールモデル」となり得ます。
「医師になっても家庭を大切にできるんだ」
「女性でも、長く働ける仕事なんだ」
そんな希望を、あなたが示すことができるのです。
面接対策!志望理由を練ろう
ここでひとつ、受験生の皆さんに忘れてほしくないことがあります。
医学部には面接試験があるということです。
そして、出願時には志望理由書の提出が求められる大学も多いのが実情です。
ただ「人の役に立ちたい」「医師になりたい」という気持ちだけでは不十分。
これからの医師に求められるのは、将来のビジョンを持ち、自分なりの使命感を語れる力です。
特に、女性であることをどう活かしていくのか。
「女性だからこそ気づける視点」「女性だからできる支援」は何なのか。
あなた自身の経験や考えをもとに、具体的な未来像を描いてみてください。
・どんな診療科で働きたいのか
・どんな患者層に寄り添いたいのか
・どういった医療チームの中で役割を果たしたいのか
これらを自分の言葉で語れるかどうかが、面接では大きな差となります。
例:
「私は将来、子育て中の女性が安心して相談できるような地域の内科医になりたいと考えています。自身も母親としての経験を持つ医師だからこそ、共感を持って寄り添える医療を提供できると信じています。」
このように、「女性として」ではなく、「自分として」どのような医師になりたいのかを、できるだけ具体的にしておきましょう。
変わりゆく医療現場の中で求められる姿
近年、医療現場では「チーム医療」がより重視されるようになっています。
医師一人で全てを担う時代は終わり、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、ソーシャルワーカーなどと協力しながら、患者の人生を支える時代へと移行しています。
その中で、女性医師が果たす役割はますます重要に。
コミュニケーションの潤滑油として、また柔らかな空気を生み出す存在として、職場全体の質を高める効果すらあります。
もちろん、課題もあります。
長時間勤務や当直といった働き方が合わない場面もあるかもしれません。
けれど、制度改革は少しずつ進み始めています。
何より、「こうありたい」と願う人がいるからこそ、変化もまた生まれるのです。
未来の医師へ
医学部受験は、ただの入試ではありません。
将来、医師としてどんな貢献をしていくのか──その覚悟を問われる場でもあります。
あなたが描く未来の医師像。
その中に「自分らしさ」が込められていれば、それはきっと、面接官の心にも響きます。
女性としての特性を活かしながら、けれど性別にとらわれず、「一人の人間として、社会とどう向き合うのか」。
その問いに、あなたらしく答えてください。
私たちは、あなたのその一歩を、応援しています。