面接は技術試験ではない
医学部の面接は「受け答えの上手さ」を競う試験ではありません。大学が見ているのは、あなたがどのような人間として生きてきたか、そしてどのような関係の中で振る舞ってきたかです。想定問答をどれだけ覚えたか、模範解答をどれだけ滑らかに話せるかといった技術論は本質ではありません。面接は、人間としての歩みの質を見極める場です。
医師は人間関係の職業
多くの医学部は本音では「勉強だけできる人間はいらない」と考えています。医師は知識職であると同時に、人間関係の職業だからです。臨床現場では、幼児や高齢者、外国人、気難しい患者さんなど多様な人と接し、さらに看護師や上司、先輩医師と協働します。性格や価値観が合う人ばかりではありません。だから大学は、志望動機の美しさよりも「他者とどう関わってきたか」という現実の行動を見ようとします。
問われる人間関係の厚み
たとえば過去の面接で「影響を受けた人を三名挙げよ」という質問が出されたことがあります。これは知識や理想論ではなく、その受験生の人間関係の厚みを測る問いです。誰と関わり、どのような影響を受けてきたのか。そこには価値観や行動様式がにじみ出ます。大学が本当に知りたいのは「人を助けたい」という言葉そのものではなく、合わない人とどう折り合いをつけてきたかという現実的な協調性なのです。
想定問答より志望校研究
大学は「苦手な人とどう付き合いましたか」とはストレートに聞きません。一見すると平凡な質問に包んで問います。だから準備の方向が重要になります。想定問答の暗記より先に行うべきことは、志望大学の研究です。パンフレットやホームページ、アドミッションポリシーを読み込み、その大学が求める人物像を理解すること。その価値観と自分の経験がどこで重なるかを確認する作業が土台になります。
人間関係の棚卸しをする
面接準備で最も重要なのは、人間関係の棚卸しです。先輩、先生、友人、家族、そして苦手だった人。関係性や対立、そこで自分がどう行動したかを書き出してみてください。そこから強みや弱み、価値観が見えてきます。面接は即興勝負ではありません。自己理解の深さの勝負です。紙とペンがあれば今すぐできる内省ですが、この少し面倒な作業を後回しにする受験生が非常に多いのが現実です。医学部二次は点数ではなく人間力の試験であり、ここで差がつきます。
準備は敬意として伝わる
「自分はコミュニケーション能力がある」「第一印象は悪くない」「面接はアドリブで何とかなる」といった思い込みで準備不足のまま臨み、結果的に失敗するケースも少なくありません。準備とは相手への敬意でもあります。準備なしで合わせればよいという姿勢は必ず伝わりますし、面接官に「軽く見られている」と受け取られれば評価は下がります。面接は人間同士の場である以上、姿勢は必ず表れます。
面接は人間力の試験
医学部を目指す皆さん、そして在校生・保護者の皆様へ。これまで積み重ねてきた経験と人間的成長は、必ず面接で評価されます。点数の先にある医師としての在り方、「どんな人間か」が伝わる土台づくりこそが重要です。メディカルウイングでは、その土台となる自己理解と言語化を日々支えています。知識と同じくらい、自分自身と向き合う時間を確保してください。それが面接での確かな説得力になります。