理科科目の選択

医学部受験を考えている高校生にとって、理科の科目選択は大きな分かれ道になります。化学、生物、物理の3科目の中から2科目、どれにしようかと迷っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は物理を選んだ場合にどんなメリットやデメリットがあるのかを整理してみます。

物理選択で広がる可能性

物理の大きな魅力のひとつは、暗記量が比較的少ないことです。特に生物と比べると顕著で、原理を理解し、計算力をしっかり身につけていれば、高得点を狙いやすい科目です。暗記の負担が軽い分、浮いた時間を英語や数学といった他の主要科目にまわすことができるのも強みです。さらに、受験できる大学の幅が広がる点も見逃せません。生物選択では受けられない医学部もありますが、物理を選んでおけばどの医学部にも挑戦できます。中には物理が必須の大学もあり、選択肢を広げる意味でも大きな利点があります。

計算力の壁

一方で注意が必要なのは、物理が計算力を前提にしている科目だということです。数学に苦手意識がある人にとっては厳しい場面が多く、最低限でも高校数学の基礎を自在に扱えることが求められます。また、暗記だけで乗り切ることはできず、公式や解法の仕組みを理解していなければ応用問題には対応できません。逆にいえば、原理原則を理解してしまえば短期間で成果が出やすい科目でもあります。

大学以降につながる知識

さらに、入学後に学ぶ内容とのつながりという点では、生物の方が有利です。医学部で学ぶ生理学や解剖学、生化学などは受験時の生物の知識がそのまま基盤になりますが、物理は大学に入ってから活用する場面が限られています。そのため、大学以降の学びとの直結性を求めるなら生物の方が実用的と言えるでしょう。

まとめ

結局のところ、物理を選ぶかどうかは自分の得意不得意をどう見極めるかに尽きます。計算に強く、原理を理解することが好きな人にとっては強力な武器になりますし、苦手な人にとっては足を引っ張るリスクにもなります。どちらが正解ということではなく、自分の力を冷静に判断し、将来の学び方も見据えて選ぶことが、医学部合格への確かな第一歩となるはずです。