傾聴だけでは足りない理由

医学部や歯学部の面接でよく問われるのが、「チーム内のトラブルにどう対応するか」というテーマです。

多くの予備校では「とことん話を聞きなさい」と指導しているようです。

確かにこの「傾聴」に考えは大切なことです。

相手の話に耳を傾けず、自己主張ばかりするの姿勢ではなく、まずはチームのメンバーたちの主張、考えに耳を傾ける。
これは、共感力やコミュニケーション能力を評価される第一歩になります。

方向性を決める上でのファーストステップとしては大切なことでしょう。

医療の現場でも、相手の状況や気持ちを理解し、丁寧に把握する力は不可欠です。

しかし、それだけでは十分ではありません。

全員の主張を丁寧に聞き取ろうとする姿勢は大切ですが、すべて取り込もうとすると、結局は誰も決められず、方針が定まらないまま時間だけが過ぎてしまいます。

いわゆる「船頭多くして船山に登る」状態です。

現実の医療現場では、限られた時間の中で最終的な判断を下し、全員の行動を一致させる力が必要とされます。

面接官が本当に見ているのは、この現実感を持ってチームを機能させられるかどうか、という点なのです。

決断と実行で差をつける

もしあなたが「まず意見を聞いたうえで、最終的には決まった方針に従い、自分の役割を果たす」と答えることができれば、それは非常に実践的で高く評価される発言になります。

傾聴によって感情を整理し、一定の段階で責任者が結論を出す。そして、不満が残っていても行動は統一する。
この姿勢こそが、チーム医療を動かす力なのです。

「話を聞く」と答える受験生は大勢います。
もちろん、これも評価されるでしょう。

しかし、その一歩先、「決断」と「実行」にも言及できれば、あなたは確実にライバルよりも一歩抜きん出ることができます。
医療現場で求められるのは、優しさだけでなく、適切なタイミングで決め、全員を動かせる力だからです。

面接ではこう語ってみてください。

「まずは徹底的に話を聞きます。その上でチームの目標達成を最優先に考え、決まった方針に責任を持って従い、自分の役割を果たします。」

この一言で、あなたの人間性だけでなく、現場を動かす実行力まで示すことができるでしょう。

面接官が「この受験生は現実を理解している」と感じる瞬間です。

これを知っておけば、同じ土俵に立つライバルより、ほんの少し先へ抜け出せるはずです。